中綿にはいろいろな種類があるけれど・・・
ぬいぐるみの中綿にはいろいろな種類・特徴がありますが,白いポリエステル綿とポリウレタンチップの二種類がほとんどです。
他に,木を糸状に加工したものや,オーガニックコットンと呼ばれる天然の綿,ペレット(プラスチックのビーズ),発泡スチロール,スポンジ屑,毛糸屑,生地を切り刻んだも物もあります。天然素材は木の汁が出てぬいぐるみ自身を汚損したり,虫に喰われたりすることがあります。
結局の所,ぬいぐるみは後日洗うことをあまり考えないで作られてい
ることが多いということが分かります。
ウレタンは万病の元
当サイトの説明や掲示板にも,しばしば「ウレタン」とか「ウレタン綿」という略した言葉が出て来ますが,すべてポリウレタンチップのことを指しています。
分かりやすく言うとスポンジを細かくちぎった物です。
ポリウレタンチップの入ったぬいぐるみは,あまり長生きできません。
このポリウレタンは,伸び縮みするストレッチ素材として,水着やジャージ,女性向けの衣類にも多く含まれています。また,いわゆる合皮(合成皮革)の表面は,ポリウレタンがコーティングされています。それぞれ姿形は異なりますが,このポリウレタンという素材は寿命がとても短いことが,ぬいぐるみの寿命にも影響してきます。
例えば合皮
(ポリウレタン)のコートなどは,耐用年数がせいぜい2〜3年です。
いつの間にかにコーティングが剥がれてボロボロになってしまうことがあります。
もともとはイタリアなどカラッとして季候の良い地域のファッション素材として活用されてきましたが,日本のようにジメジメした
高温多湿の地域ではポリウレタンは劣化しやすいのです。
では,なぜぬいぐるみの中にそんなスポンジが入っているのでしょうか。まず,詰め物として価格が安いと言うことが上げられます。手ざわりとして適度な弾力が得られるのも魅力です。
しかし一番の理由は,ぬいぐるみを作ったカミサマに誤算が生じたことでしょう。
ぬいぐるみが10年も20年も30年40年も生き延びることや,人間が毎日抱っこして寝ること,汚れてお風呂にはいること,中綿を交換してリフレッシュしたり,
人間顔負けの大旅行をしたり,今どきぬいぐるみ専用の温泉に入ってのんびり湯治をすることなど,カミサマは想像しなかったのだと思います。
決してポリウレタン=粗悪ということではありませんが,ぬいぐるみが長生きする上で,このポリウレタンという素材が下記のような様々な障害を引き起こしてしまいます。
風化・劣化・砂状化と吹き出し |
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一度も洗ったことがないのに,円盤状だったスポンジ(ポリウレタン)がボロボロに。ずっと一緒に寝ていて人間の汗をたくさん吸い込んでいたり,熱い車中に長期間置いておくとポリウレタンが硬化・分解して砂のようになってしまうことがある。 |
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ぬいぐるみの表面に色が滲んできている。中のウレタン綿が劣化して砂のようになり表面に吹き出していた。砂状化すると,繊維から除去することは困難になることもある。 |
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こびりつき |
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ポリウレタンが粘土状にまで劣化して,生地にドロドロとこびりついてしまった事例。 |
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摩擦で繊維が傷む |
また,これまで多くのぬいぐるみの穴をふさいできましたが,ポリウレタンチップが入ったぬいぐるみの穴修理は白いポリステル綿のぬいぐるみに比べて10倍くらい多くなっています。
理由はよく分かりませんが,
おそらくは,生地と綿の摩擦が大きいためだと思われます。どうしてこんなに穴が開くんだろう・・・どうすればこんな破れ方になるんだろう・・・というケースは,まず100%ポリウレタンチップのぬいぐるみです。 |
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ポリエステルへの綿交換について |
今は綺麗な状態でも,ポリウレタンチップはいずれ
分解して粉々になりますが,ポリステル綿はくたびれてペチャンコになることはあっても,粉状に分解したりすることはありません。そのため当店では
,ポリウレタンが粉々になってしまわないうちに,できるだけポリエステルの白い綿に交換することをおすすめしています。 |
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